メタボリック・シンドローム 糖尿病の運動療法

糖尿病運動療法は食事療法と共に糖尿病治療の中心となります。その効果は明確で、絶大です。

運動では様々なメリットが得られます。
1.血糖コントロールを改善することができる
2.食事療法と組み合わせて、減量やヘルシー体重が維持できる
3.脂質代謝を改善して動脈硬化を抑え、心疾患のリスクを減らすことができる
4.血圧を下げることができる
5.インスリンが効率よく作用するため、インスリンや経口薬を減らせることができる
6.筋肉を鍛えることにより体力が向上し、体のしなやかさやバランス感覚を養える
7.ストレス解消、気分転換ができる

ただし、運動を始める前には医療スタッフに相談(メディカルチェック)が必要です。
それは2型糖尿病と診断されたときが病気の始まりではないからです。
実際の発病は、診断よりも10年以上も前に起こっていた可能性が高く、診断時には既に合併症のある人が2割はいる可能性があります。

そのため、急に思い立ってジョギングなどを始めるのはとても危険です。目、腎臓や心臓、足の神経障害などのメディカルチェックを受けてから、自分に合った運動のアドバイスをもらい、ご自身の体の状態を正しく理解することが第一です。

運動時に注意するべきこと、効果的な運動のポイント
1.自分の好みに合ったものを選ぶ
長続きしなければ効果がないばかりか、逆にストレスとなります。ジョキングや筋トレなどマイペースで行う好きな人もいれば、ゴルフや野球、テニス、のような友達と一緒が好きな方もいると思います。
いずれにしてもスポーツを楽しみ体を動かすことが前提となりますので、それぞれ個人が楽しめることを続けるようにしましょう。ただし、団体で行うスポーツは人と友達になれる絶好の機会でもあるので、効果的でもあります。

2.運動前後の体操が大切
いきなり体を動かすことは大きな負担となります。運動前のウォームアップ(徐々に体を温める)と、終った後のクールダウン(疲れを残さないためのストレッチ)を心掛けましょう。安全第一です。

3.効果的な運動を組み合わせる
有酸素運動と筋力トレーニングを組み合わせることで、本来の体バランスが得られ効果的です。

4.継続的に行う習慣をつける
運動の効果は2日位しか続かないので、継続的に行うこことが大切です。少なくとも30分程度の運動を週3回はするようにしましょう。

5.安心して暴飲暴食をしないよう注意する
たとえ運動をしたとしても、基礎代謝が衰えることにより運動で消費するエネルギーはそれほど大きくありません。安心しすぎて、暴飲、紡織に気をつけましょう。

6.低血糖の対策を行う
インスリン治療をしている人は逆に低血糖の対策を十分にしましょう。運動時間にもよりますが、効果は10時間以上続くので、注意が必要です。(低血糖発作は意識障害が起こりますので危険です。)

7.悪天候では無理をしないようにする
悪天候、猛暑、厳寒の日に体に負荷をかけすぎるのは体調を崩し危険です。運動を継続しようとする意識があまり強すぎて自分に厳しくならないよう無理はしないようにしましょう。

8.こまめに水分補給を行う
脱水に注意して適度な水分補給を行いましょう。水分補給は点滴のような少しづつ時間を掛けてが理想です。のどが渇いたと思った時点で黄色信号だと思いましょう。
運動中に動悸や不整脈、胸の痛み、めまい、筋肉や関節の痛みを感じたら我慢しないで中止しましょう。

9.自分に合った格好を心がける
足に合った靴、適切な服装など、体をしっかりと守り、いたわる用意を忘れずにしましょう。(スポーツショップなどで相談し、服装を選ぶ)

10.足のチェックを行う
むくみ、張り、痛みなど、足のチェックは毎日行うましょう。特にスポーツの後はストレッチと共に念入りにするべきです。

11.高血糖や低血糖の場合は運動を避ける
1型糖尿病の方は必ず血糖をチェックしましょう。スポーツを折り込んだ食事とインスリンのバランスを会得することが大切です。

12.運動の強度を知る
運動の強度は次の計算式で求められる心拍数を目安にしましょう
(<220-年齢>-安静時心拍数)×0.6+安静時心拍数。たとえば、50歳で安静時心拍数を70回/分とすると(<220-50>-70)×0.6+70=130回/分

運動の最初のうちは0.6ではなく、0.5を掛ける程度で始めるといいでしょう。この場合の心拍数は120/分になります。

13.医師の指示を仰ぐ
糖尿病患者はそれぞれ程度により運動療法が制限されたり、禁止されたりすることがあります。
例:
血糖コントロールが極端に悪い。
増殖網膜症による新しい眼底出血がある。腎不全の状態である。
心疾患、心肺機能に障害がある。
足の壊疽。
高度の糖尿病自律神経障害がある。 等々。

とにかく気になることがあれば医師に意見を求めるようにしましょう。
正しく効果的な運動習慣は、食事療法とともに、糖尿病治療に効果的な結果をもたらしてくれるはずです。

メタボリック・シンドローム 糖尿病の食事療法

糖尿病治療の基本は食事療法と言われています。
これは効果が最もある治療法ですから甘く見てはいけません。
しかし、今まで散々好きなように食事を楽しんできたことを考えると、とてもではありませんが改めて「これが正しい食事の仕方ですよ」と言われても、そのギャップに驚くことは目に見えています。
特に尿糖(エネルギー)が出ていた人は知らないうちに大食い(過食)の食習慣がついていますので、初めのうちはとてもお腹が空きますが、治療によって血糖が下がれば食欲も収まります。
つまり、それが食習慣となります。

それでは何のために食事療法を行うのかを考えて、理解してみましょう。

1.インスリン量に見合う量の炭水化物(糖質)を摂取する。
できるだけ正常に近い血糖値を保つためには、からだが分泌できる量のインスリン(あるいはインスリン注射)とバランスのとれた量の食物(特に炭水化物)を摂取することが必要です。

2.合併症の予防のためのヘルシー食
合併症を予防するために、高血圧や血中の脂質異常(ここでは高脂血症)にならないようなヘルシー食を心掛けることが必要です。

3.適正なエネルギーを得るためのカロリー計算
成人の場合は、その人にとっての適正な体重を実現・維持するための適正なカロリー計算とその順守。子どもや青少年では正常なからだの成長を目指すために。妊娠中や授乳期では増大するエネルギーや栄養素の過不足がないように。

4.低血糖を防ぐ血糖値の調整
インスリン療法で起りがちな低血糖(度が過ぎると意識障害が起こるため危険)や、運動が血糖に与える影響への対策。

5.健康な体を保つ栄養バランス
健康な体を保つために、ベストな栄養素が摂取できるように調整。

日本では食品交換表を使った食事指導が主になり、少しずつ個人に合った食事計画がされるようになってきました。
食品交換表とは食品を栄養素に準じて6群に分けて、同じグループ内のものは自由に交換できるように配したものです。
それぞれの80kcalあたりの1ユニットを決めてあって、朝昼晩3回の食事にバランスよく配分すると必要なエネルギーと栄養素が摂れるようになっています。

食品交換表のいいところは、栄養学の心得がない人でも指示を守れば適切なカロリーと栄養素をバランスよく摂れることです。

その代わり、覚える種類が食品の数だけありますから使い勝手が悪く、自由に何でも食べられるという交換表の趣旨に反して個人の好き嫌いによりワンパターンの食事になりがちです。
ここは気持ちを切り替える工夫が大切ですね。

食品交換表のような食事が嫌いな人や外食の多い人は、血糖の源となる炭水化物食品のみに焦点を当てて食べ過ぎないようにするカーブカウンティング(カーブ(カーボ)とは炭水化物の英語Carbohydrateの略で、食品成分のカーブだけをカウントする食事プラン)が便利です。
これは砂糖類と共に穀類、野菜、果物、牛乳の食品群のみが炭水化物食品なので、これらを優先的に選択すれば血糖上昇を抑えられるためです。

欠点としてはカロリー(エネルギー)が二義的になりますから、肥満のある人は脂質にも考慮する必要があります。

糖尿病になっても食べてはいけない食物などありません。
何でも食べられるのですが治療食ですから節度は必要です。
一般に言われるような低カロリー食が糖尿病食ではありません。まず第一に心掛けるのは「ヘルシー食」なのです。

メタボリック・シンドローム 糖尿病とアルツハイマーの関係

これまで糖尿病の方がアルツハイマー病や他の認知症(痴呆)になりやすいことは研究者の間では詳しく解明されてはいなかったものの、知られていました。
血管系の認知症なら分かりますが、今回アルツハイマーとの関連にも進展が見られそうです。

炭水化物(ブドウ糖)の代謝がうまく出来ないだけで辛い生活を送っているのに、さらにアルツハイマー病のリスクが高いとなると何とも追い打ちをかけられたようで、気が滅入ってきそうです。

こんな話題には触れたくない気持ちなのですが、実はこれがアメリカのジョスリン糖尿病センターからの情報となるとそうもいかないようです。
これまでよく分からなかった糖尿病とアルツハイマー病の関連がインスリン抵抗性にありそうだという研究が発表されたのです。

インスリンが正常に作用しないので(抵抗性、インスリンレジスタンスともいう)大量のインスリンが分泌されたり、血糖値が高くなることがあります。
特に白人系はすい臓の機能が強いと言われますので、肥満から2型糖尿病に進行する病因の大きな理由はこのインスリン抵抗性にあると考えられています。

肥満がもたらす代謝性シンドローム(シンドロームXとも呼ばれていた)はアメリカ成人の約1/4に見られますが、その引き金もインスリン抵抗性にあるのはどうやら間違いないようです。

この代謝性シンドロームとは1960年代から70年代に心臓疾患のリスクとして注目され始めて、1988年にアメリカのスタンフォード大学のジェラルド リーベンという教授がインスリン抵抗性によるものとして、シンドロームXとして発表したものです。
ウエストラインが大きくて血圧も血糖も血中の中性脂肪も高めですが、病名がつくほどではない。
しかし、複数の因子が重なると心臓疾患が危険レベルに高まってしまうというものです。

インスリンをキャッチするインスリン受容体はほとんどの体細胞に備わっていますので、脳細胞も例外ではありません。
脳の細胞がエネルギー源のブドウ糖を取り込むにはインスリンは必要ありませんが、インスリンが脳細胞に作用しないとアルツハイマー病やパーキンソン病と同じようなことが起きることがわかりました。

この研究者達は脳細胞(ニューロン)にインスリン受容体を持たない、いわゆるノックアウトマウス(NIRKO)を使った実験で得た結果です。
以前からこの遺伝子操作をしたマウスで、食欲コントロールの異常、肥満、2型糖尿病、不妊などになることが明らかになっていました。

今回はこのマウスの行動や記憶、脳の生理状態などが詳しく調べられました。
神経細胞のインスリン伝達タンパク質の活性が落ちると、GSK3ベータという酵素の活性が高まって、タウタンパク質のリン酸化が過剰になるのだそうです。
これがアルツハイマー病とインスリン抵抗性のカギになる可能性があるようです。

何だか難しい話ですが、さらに今後、研究が進むことに期待しますが、インスリン抵抗性改善薬はすでに身近にありますから期待してもいいのではないでしょうか。

メタボリック・シンドローム 2型糖尿病予防薬

近年、さまざまな研究により2型糖尿病の予防に、何と高血圧や高脂血症の薬が有効である。という論文にての発表がいろいろ出てきました。
これらの薬で2型糖尿病の発症を抑えられるのであれば、ちょっと注目です。

機械化の進歩で肉体労働が減って、さらに食生活が豊かになったおかげで、そのしっぺ返し世界中どこの国でも糖尿病予備軍がどんどん増えつづけます。

3年ほど前のデータですが、世界中の糖尿病患者の推定人口は1億8千万人、日本では700万人とのことです。(予備軍の人口ではありません。糖尿病と診断された患者推定人口です)

すっかり定着し話題になっているメタボリック・シンドロームは病名ではないのですが、これは太っていて高血圧気味、空腹時血糖値も糖尿病とは言えないまでも高く(予備軍)、少しずつ悪い人が容易に心臓や脳の障害を起こしやすいという警告の意味ですが、このレベルから糖尿病に進む人も多いのも実情です。

では糖尿病予防薬はいろいろありますが、節食と運動(エクササイズ)が糖尿病を予防する、あるいは糖尿病の発症を遅らせるということは、これまで数々の糖尿病の研究で明らかにされています。
ところが食事と運動という生活習慣の改善は、分かってはいるけど、やめられないのが現実なのです。

これらの研究では生活習慣の改善と共に薬の効果も検証されてきました。そのなかでも、「メトフォルミン」は肝臓のインスリン感受性を高めて、肝臓からのブドウ糖の放出を抑えると考えられていますが、欧米人のような肥満型の糖尿病予備軍にはとても効果がありました。

同様にインスリンがうまく作用しない人のための「インスリン抵抗性改善薬」も、人によっては予防効果があることも分かりました。某製薬会社の「アクトス」という商品はこの薬の代表的なものです。
また、食後の炭水化物(ブドウ糖)の吸収をゆっくりとさせる「アルファ=グルコシダーゼ阻害剤」も糖尿病予防に有効とされています。
食後の高血糖を抑えるのですから当然ですが。このタイプの薬には某製薬会社の「ベイスン」という商品が日本ではよく使われているようです。

血圧降下剤の効果はというと、何とも興味深いことは、高血圧の降下剤であるACE阻害剤やARB(アンジオテンシン受容体ブロッカー)という薬も糖尿病予防に効果があるようなのです。
これらの降下剤は糖尿病患者の高血圧症に使うと糖尿病性腎症の予防になるのです。
今後は、どのような機序(システム)で糖尿病予防になるのか解明できれば、新しい糖尿病予防薬の開発につながります。
またLDL(悪玉コレステロール)を下げ、HDL(善玉コレステロール)を増やす「スタチン」という高脂血症の薬も糖尿病予防になるようです。

ただしここで問題なのは、これらの薬を糖尿病予防に使うことが、現段階では健康保険が認られていないということです。
したがって今は使用することができませんが、今後十分検証がなされ、機序が解明され早く使用できるようにしてもらいたいものです。

メタボリック・シンドローム 糖尿病になってしまったら(その2)

糖尿病にならないように気をつけていても、とうとう糖尿病と診断されてしまった。
あるいは、すでに糖尿病と診断されてしまっている方の治療では、たびたびA1C(エーワンシー)の数値が話題になります。
しかし、これはあくまでも代理目標ということを頭に入れておかなければなりません。
本当の目標は、いまわしい合併症を起さないでヘルシーな人生を送ることです。

糖尿病と付き合う10の秘訣の内、次はワンランク上の5つのコツです

1.インスリン治療の人は「15ルール」を守る
インスリンの治療では高血糖だけでなく低血糖への準備が必要です。
インスリン・ユニット、食物、活動量、経過時間、心理状態などが複雑に絡むからです。
インスリンを使っている人は、低血糖時には日頃我慢している甘い物を食べる絶好のチャンスと考える方がいますが、これは良くありません。
なぜなら気分が回復するまでに必ず食べ過ぎてしまうからです。そしてその結果は肥満です。
お薦めなのが「15ルール」です。 低血糖を感じたら吸収の速いブドウ糖などを15g取って15分待つ。それでも血糖値が戻らなければ更に15gのブドウ糖を追加するのです。でも低血糖が頻繁に起るのなら、インスリンの調整が必要となってきます。

2. ソフトドリンク(コーラなど)は避ける
一番簡単で一番効果があるのはソフトドリンクをやめることです。液体でも糖分は糖分、血糖を急激に上げます。これらは低血糖時のもしもの時に使うのが無難です。その場合も糖質15gに注意が必要です。

3. 気持が緩んだら、自分で立ち直ろう
どうもうまくいかない!何を食べていいか分らない、また薬を忘れた等。どんなときも決して自分を責めないことです。医療チームはあなたを叱るためにあるのではなく、あなたをサポートするためにあるのです。
こんな難しい病気が一気に良くなることはないのです。小さな努力を積み重ねるしかありません。家族や友人、医療チームから元気をもらいましょう。

4. ストレスを糧とする
人生は自分ではどうしようもないことに満ちています。人間関係、病気、お金、家族、職場、離別、失業‥。でも自分で出来ることもたくさんあります。自己血糖測定、ヘルシーな食事、運動など。
たとえば、生活のために働くのは仕方がないことですが、今日なにを食べるかはご自分が決め、出来る事なんです。

5.「知性と素直、自制そして勇気」
糖尿病の恩人、エリオット・ジョスリンの言葉です。糖尿病と付き合うには覚悟が必要です。そして「教育」です。学習が不可欠です。知識も薬もツールも、10年前と比べて著しく進歩してますから、病院での糖尿病教室、参考書、インターネット等、いつも最新の情報に目を向けることが必要です。
日本でもどこの国でも医療現場に最新知識が生かされるまでには、何年間もかかることがあります。糖尿病は自主的に学ばなくては、上手く付き合えないのです。

エリオット・ジョスリンの言葉に「糖尿病は患者の性格を試す病気だ」というのがあります。かなりメンタルな部分が影響する病気のようです。前向きに頑張りましょう。

メタボリック・シンドローム 糖尿病になってしまったら(その1)

糖尿病にならないように気をつけていても、とうとう糖尿病と診断されてしまった。
あるいは、すでに糖尿病と診断されてしまっている方の治療では、たびたびA1C(エーワンシー)の数値が話題になります。
しかし、これはあくまでも代理目標ということを頭に入れておかなければなりません。
本当の目標は、いまわしい合併症を起さないでヘルシーな人生を送ることです。

糖尿病と付き合う10の秘訣の内、基本となる5つの生活ルールとして
1.変化を恐れないで、いつも一歩前に進む
これは特に2型糖尿病の方に求められます。2型糖尿病は比較的ゆっくりと進行しますので、どうしても対応が後手にまわりがちです。
食事療法と運動療法でコントロールできなくなったら、いよいよ薬物療法です。
すでに数種類の飲み薬を服用しているのであれば、次はインスリンの導入です。例えば夜1回のロングアクションのインスリンだけでも大きな効果があります。進行するのは病気の本質ですから、自分を責めることなく、正しく対応しくことが大切です。

2.血糖測定器から情報を引き出す
糖尿病は炭水化物(ブドウ糖)の代謝障害です。血糖値を一定の範囲に保つ機能が壊れてしまった状態ですから、血糖測定器の力を借りましょう。
過去2~3ヶ月の平均血糖を示すA1Cと、その日その時の血糖値を示す自己血糖測定の記録があれば、ご自身も担当の医師も治療に必要な決断が容易になります。
コントロールを乱しているポイントを把握することが大切です。

3.自分の血糖パターンをつかむ
自己血糖測定をした時は、日時、食前・食後を記録します。その時の食事や活動量、非日常的なストレス、体調も記入しましょう。これら全部が血糖に影響するからです。
記録するのが目的ではなく、そのデータを基に学習することが大切なのです。日本ではインスリンを使わないと健康保険の対象になりませんが、自己負担ならだれでも自己血糖測定はできます。
朝1度の空腹時血糖チェックだけでも大きな利益があります。ご自分の人生と、1日1回150円の交換なんです。

4.薬の指示は守る
薬は決められた時間に、決められた用量を、決められたタイミングで服用することが大切です。
医師としては患者さんが指示を守っているという前提で処方を調整しますので、そうでなければ根源が崩れてしまいます。その代わり、薬のことで気になることがあれば何なりと遠慮なく医師に相談しましょう。医師はどのような対応もできることを忘れずに。

5.とにかく体を動かしましょう
食事で取った炭水化物(ブドウ糖)の大半は筋肉に収まります。そして、余ったものが脂肪になるのです。だから衰えた筋肉量を増やす(あるいは維持する)のはとても大切です。
エクササイズというとジムでのトレーニングもありますが、とてもそんな時間が取れない、そんな環境にない方はご自身の生活パターンに合わせ、1日に5分でも10分でも余計に歩くだけでも意味があります。

メタボリック・シンドローム 糖尿病予備軍からの抜け出すヒント(その3)

糖尿病予防はちょっとした努力から始められます。
・体重を少し減らす。
・1日30程度の運動を心掛ける。
・ヘルシーな食事。
以上のことから全部で50のヒントをご紹介します。

食事の質編です。
28.スナックは"ベジタリアン"になろう!
29.スーパーに行ったら、少なくても1種類は初めてのフルーツや野菜にトライしよう。料理のレパートリーが広がります。
30.パスタと低脂肪のチーズだけでも立派なメインディッシュ。お好みの野菜料理やサラダを添えて。
31.いろいろな国の料理に挑戦してみる。エスニック料理は加工品が少なく、野菜や全粒穀物、豆類が多いものです。
32.塩を減らしてスパイスやハーブで風味をつける。
33.お気に入りのミネラルウォーターをいつも手元に。ソフトドリンクは禁物です。
34.ヘルシースナックを携帯しよう。
35.ピッツァのトッピングはホウレン草やブロッコリ、ピーマン等を選ぼう。
36.油を落とす調理法、あぶり焼きや網焼き等の魚や肉の料理をマスターする。
37.シュガーレスの食品を選ぶように。
38.おいしい全乳から、少しずつ低脂肪乳にして慣れていこう。
39.何をどの位食べたかを1週間記録してみよう。そうすると、どんな時に食べ過ぎるのか、どんな時に高脂肪・高カロリーの食事をしてしまうかが見えてきます。
40.未精白の全粒穀物にこだわりましょう。玄米、全粒粉パン、オーツ麦、全粒粉パスタなどです。玄(くろ)はヘルシーの色です。
41.空腹を抱えて食品スーパーへ行かないこと。つい買い過ぎてしまいます。いつも買い物リストを用意しましょう。
42.賞味期間だけでなく、食品成分表をよく読むように。ローファット、飽和脂肪酸の少ないもの、ローカロリー、低塩分を確認しましょう。
43.フルーツをいつも食卓の上に用意しよう。きれいで、おいしく、ヘルシーです。
44.スナックは時間をかけてゆっくりと。ケーキをひと口で食べる代りに、ローファットのポップコーンをもぐもぐと。オレンジジュースをひと口で飲む代りに、オレンジの皮をむいて召し上がれ。

カロリーばかりが頭に浮かびますが、本当の第一歩はヘルシーな食習慣を身に付ける事です。ヘルシーな食物は腹持ちがいいですから、自然とカロリーも減ります。

それでは、最後に心(メンタル)編です。
45.息を抜いていいんですよ。優等生の生活は続けられません。緊張を緩めましょう。
46.いっぺんに食事やエクササイズを変えようとは思わないこと。週一のペースで何かを改善していきましょう。
47.リラックスする方法を見つけよう。簡単な深呼吸と黙想、ゆっくりと歩く、音楽に心を漂わせる……
48.1日がんばったのだから、自分にご褒美の時間を。本を読む、ゆっくりと湯船に手足を伸ばす、心静かに瞑想する等
49.ストレスやプレッシャーを食物やアルコールで癒さないように。食事はちゃんと食べたのだから、他のことをしようよ。
50.健康は自分にプレゼントできる最高の贈り物です。

以上50のヒントを挙げましたがいかがでしたでしょうか?仕事に集中しなくてはいけない人は、仕事を優先していいのですし、やり易い目標から少しずつ実行してみてください。
そのほかにもご自身で工夫して是非、糖尿病予備軍から抜け出して健康ライフを送りましょう。

メタボリック・シンドローム 糖尿病予備軍からの抜け出すヒント(その2)

糖尿病予防はちょっとした努力から始められます。
・体重を少し減らす。
・1日30程度の運動を心掛ける。
・ヘルシーな食事。
以上のことから全部で50のヒントをご紹介します。

運動編です。
18.ダンスが好きでしょう?たまには踊り明かそうよ。
19.子供達に、同じ年頃だった時のダンスを教えてあげましょう。一緒に踊る楽しみ。
20.家事をする時は、音楽に"のり"ながら。
21.仲間にメッセージを送る時は、メールではなく「足」を運ぼう。
22.オフィスでは階段を使う。あるいは気分のいい所まで階段で上がって、後はエレベーターに。無理は禁物です。
23.電話も減らして定期的に友達を歩いて訪ねよう。
24.テレビを観る時はエルゴメーター自転車に乗ったり、トレッドミルを歩きながらに(室内でできる運動器具)。
25.駐車場ではなるべく遠くに停める習慣を。
26.お気に入りのエクササイズビデオで自習しよう。
27.バス停を1つ手前で降りて歩く。やってますか?

10年間に10kg太ったとします。1日あたり3g弱、カロリーにして25kcalです。たったの一口の食べ過ぎ! これはもう誤差のうちです。意識して体を動かしましょう。

メタボリック・シンドローム 糖尿病予備軍からの抜け出すヒント(その1)

糖尿病予防はちょっとした努力から始められます。
・体重を少し減らす。
・1日30程度の運動を心掛ける。
・ヘルシーな食事。
以上のことから全部で50のヒントをご紹介します。

この50のヒントは世界最大、最高水準の医学研究所であるアメリカ国立衛生研究所(NIH)と、アメリカ疾病予防管理センター(CDC)がスポンサーになった糖尿病教育プログラムを参考にしています。
したがって、内容はあくまでもアメリカのスタイルで書いてありますから、ご自分に合うように実行していただきたいと思います。

食事のボリューム編
1.なんと言ってもお皿に盛り過ぎないこと。
2.肉、鶏、魚は90g、すなわちトランプ1組の大きさで十分。それ以上は食べ過ぎです。
3.たっぷりに見せる盛り付けのセンスを。
4.調理中や後片付けのキッチンでの、無意識のつまみ食いにご注意!
5.きちんとした食事やスナックを、1日の中で規則的に取りましょう。
6.毎日、朝食を取ることを忘れずに。
7.ハム、ベーコンのような塩漬け肉やスープの素は控えめに。(減塩を心がける)
8.デザートは分け合いましょう。
9.レストランではまず野菜サラダをたっぷりと。メインディッシュは仲間と半分こにする、あるいは半分を包んでもらってお土産に。食べ始める前に頼むのがスマートです。
10.ロー・ファット・クッキング(減脂肪)。たとえば網焼きやテフロン鍋で焼く。あるいは炒め物には油を減らして少しスープを加えるなどのテクニック。
11.食欲をなだめるために、食事の10分前にグラス1杯の水を飲む。日本では茶腹も一時(イットキ)と言います。
12.ファストフードでもヘルシーチョイスを。チーズバーガーの替りにチキンのグリルを。フレンチフライ(ポテト)はパス、あるいはサラダに取り換えよう。
13.食事中はテレビを消して音楽を流すように。(テレビを見ながら食べると、つい食べ過ぎてしまうのです)
14.胃の満足感が脳に伝わるのに20分は掛かります。ゆっくりと召し上がれ。
15.かわいいお子様ランチ風はいかが?
16.ティースプーンで食べる。サラダ用の小さいフォークを使う。もちろん、器もワンサイズダウン。口も小さく開いて気取って食べる。
17.大好きなものを諦めることはありません。でも、ちょっとポーションを小さくして、回数も減らすのはどうでしょう?

ここで一服。アメリカでの研究では、ほとんどの人が日常的に食べているものは、外食も含めて25品目、多い人で50品目という結果とのことでした。25品目の適量を覚えるのは難しくありません。たとえば、回転寿司なら何皿までとか。

メタボリック・シンドローム 糖尿病予備軍

2型糖尿病になる前に、ほとんどの人が境界型(プレ糖尿病)といわれる状態になります。
この時点でできるだけ早めにライフスタイルを改めることにより、糖尿病をになることを防げる可能性がああります。
とうとう糖尿病・・・と諦めないように頑張りましょう。
逆に放っておくと、そのまま糖尿病に進行してしまいます。

プレ糖尿病の仕組みについて
「このままでは糖尿病になってしまいます」、検診などで言われたことはないでしょうか? いわゆるこの状態が、「境界型」(アメリカでいう「プレ糖尿病」)です。

診断基準は国際的に定まっていますが、一般には「糖尿病の可能性を否定できない人」のことをいいます。(厚生労働省の糖尿病実態調査より)。
すこし定義が広いようでもありますが、具体的にいうと「A1C 5.6%以上、6.1%未満」の人のことをいいます。
厳密にいうと、A1Cは人によって違う要素が大きいため、これだけで糖尿病の危険度は判定できませんが・・。

境界型の定義から考えると
ここで、「境界型糖尿病」という糖尿病はないということです。日本でいう「境界型」とは、正常値よりは血糖値が高いが、糖尿病とは診断できないという、あえて言えばグレーゾーンとでも言うのでしょうか?
高血糖の判定区分の一つなのですが、病名ではありません。

しかし「境界型」、つまりボーダーラインがあるため、いつまでも糖尿病であることを自分で否定してしまう障害があるために、この言葉は先進国では使われなくなりました。
したがってアメリカでは明解なメッセージとしてプレ(前)糖尿病とネーミングされているのです。

境界型=プレ糖尿病であるからと安心してはいけません。
日本の境界型は、年間4~6%が2型糖尿病に悪化しているのです。
アメリカの糖尿病予防プログラムの調査によると、年間11%もの人が2型になっています。
プレ糖尿病の人は10年以内にほとんどが2型糖尿病になるという研究がアメリカにありますから。
10年も境界型のままでいたのでは、糖尿病になることは避けられません。
何よりも怖いのは、心臓や脳などの血管障害が、まだ糖尿病とは言えないこの段階ですでに始まっていると分かったという点です。

糖尿病予備軍の人は、まだ病気と診断されなくても、極めて深刻な状態であることを認識しておく必要があります。

境界型(プレ糖尿病)の判定基準として、境界型の判定基準を知っておくことが必要です。
もし、自分の検査結果の数値と照らし合わせて、自分がどの状態にいるのかを知ることも大切です。

糖尿病型は空腹時126mg/dl以上、または負荷後2時間200mg/dl以上。
正常型は空腹時110mg/dl未満、および負荷後2時間140mg/dl未満。
境界型は糖尿病型にも正常型にも属さないもの。
とされています。

2005年よりアメリカのFPGは100mg/dl以上126mg/dl未満をプレ糖尿病と判定するようになりました。
75gOGTT 2時間値が高い人(170mg/dl~199mg/dl)ほど糖尿病型へ移行しやすいようです。

境界型といっても糖尿病の発症過程のものと、生活改善によって改善中のものとが混在しています。
医師は肥満度や家族歴などを参考にして評価し、判断しますがご自身が頑張らなければなりません。

メタボリック・シンドローム 肥満と糖尿病とヘモグロビンA1C

糖尿病とヘモグロビンA1Cについて
糖尿病は血液中のブドウ糖の処理がうまくできない病気です。病院での検査はこのブドウ糖の2種類をしています。
1つは、その時点でのブドウ糖の量(血糖値)の測定です。朝食の時間が分かれば食後2時間値なのか、食前値なのかが分かります。

もう1つがヘモグロビンA1C(エー・ワン・シー)と呼ばれるものです。これは体中に酸素を運ぶ「赤血球」にくっついてしまっているブドウ糖の量を測定したものです。これにより過去2~3ヵ月の平均血糖値が表われてしまうのです。
つまり前日や数日前から運動や食事制限をしても過去の不摂生は分かってしまうのです。

ブドウ糖は自然界に一番多くある炭水化物で、最も安全なものですが、いろいろなものにくっついてしまう性質がありこれが厄介なのです。
ブドウ糖同士で結合すればデンプンになったり、セルロース(繊維素)になったりします。

血液中にブドウ糖がたくさんある状態、つまり高血糖になると、赤血球に含まれるタンパク質、すなわちヘモグロビンにもベタベタとくっつきます。
ブドウ糖が多ければ多いほど、それに比例してくっつきます。したがって以前の平均血糖値が分かるのです。

体内での赤血球の寿命は約120日です。赤血球は骨髄で作られて、120日ほどで古くなって脾臓(ひぞう)で処理(壊される)されます。しかも毎秒500万個の赤血球が壊されていますから、ホントにどんどん入れ替わっているのです。
120日より前の赤血球は体の中にありませんから、ヘモグロビンA1Cは過去2~3ヶ月の平均血糖値を表わすことになるのです。
自分でA1Cを測定できる装置もあるそうですが、病院で測定するのが通常です。

では、なぜヘモグロビンA1Cが重要なのかというと、ブドウ糖は身体を動かすのに大切なエネルギー源です。最後には水と二酸化炭素になるだけですので、とてもエコロジーでパワーのあるエネルギーです。
脳がこのブドウ糖をたくさん使う臓器だということはあまりにも有名です。
糖尿病ではない人の血液中のブドウ糖は、いつも正しいレベルに調整されています。

糖尿病の人はこの調整機能が壊れています。
血糖値がいつまでも高すぎると、目や腎臓、神経がダメージを受け、歯周病なども併発してしまいます。これが「合併症」といわれるものです。
最近は心臓や脳などの太い血管も高血糖の影響を受けることが分かってきました。

血糖、すなわち血液中のブドウ糖は2通りのルートから血液に入ります。
1つは食事に含まれる炭水化物がブドウ糖まで分解されて体に吸収されます。そしてもう1つは肝臓がブドウ糖を新しく作ったり、貯えていたものを放出してできるルートです。
糖尿病の治療では、この血糖をなるべく正常値に近づけることが大切になります。食事の炭水化物を制限したり、運動で消費させたり、必要があれば経口剤やインスリン注射をするのです。

ヘモグロビンA1Cが重要なのは、医師にとっての患者さんに対しての治療法が有効かどうかを判断する材料となりますので、決して患者を責めたりするために調べているのではありませんので、念のため。

もしA1Cが高いのなら何かを改善しなくてはなりません。単に血糖測定器が狂っているのかも…と思うのも良くありませんが、自分の意志が弱いから、なんて責める必要もまったくありません。治療が正しければそんなに無理をしなくても血糖はコントロールできるものです。

A1Cは4%~5.9%が正常値です。日本ではA1Cを6.5%以下にするように指導されていますが、特に徹底されているわけではないようです。アメリカなどでは、目標値を6%未満という時代になってきたようですが・・。なぜなら、どこまでA1Cを下げれば合併症を起さなくなるかという基準が確率化されていないためです。
そのため、できるだけ正常値を目指すという方法が取られているのです。

メタボリック・シンドローム 肥満と糖尿病

肥満が与える健康への影響のひとつに糖尿病(Diabetes Mellitus: DM):(Diabetes=尿、Mellitus=甘い)があります。

糖尿病は糖代謝の異常によって起こるとされ、血糖値(血液中の糖の濃度)が病的に高まることによって、様々な合併症をきたす危険性のある病気です。
一定以上の高血糖では尿中にもブドウ糖が漏出し尿が甘くなる(尿糖)ため糖尿病という名が付けられました。

この血液中に含まれる糖というのはブドウ糖のことです。食事で取る三大栄養素の一つの炭水化物は、最終的にはブドウ糖として生命維持のために細胞が利用します。
細胞にとって大切な高エネルギー源ですが、筋肉や脂肪細胞のように多く必要とするものは、すい臓のランゲルハンス島から分泌されるホルモンの一種、インスリンが作用しないと細胞内に取り込めません。
食事で取ったご飯などの炭水化物の大半は筋肉細胞が取り入れて食後に血糖値の上昇を抑えるのですから、インスリンが不足している、あるいはインスリンは十分に分泌されていても、正常に作用しなければ血液中のブドウ糖はどんどん増えてしまい、ある濃度を超すと尿にブドウ糖があふれ出ます。

このようにして血糖値が非常に高い状態が続くと、口の渇き、頻尿、多尿、目のかすみ、だるい感じなどの症状がでます。何もしないのに体重が減少して気づくこともあり、これらの高血糖の症状で病気が見つかるケースが多いのです。

糖尿病は大きく2つに分類されます。
・1型糖尿病
インスリン依存型糖尿病ともいい、膵臓のランゲルハンス島でインスリンを分泌しているβ細胞が死滅する病気です。
糖利用をして血糖を下げるホルモンであるインスリンの分泌が極度に低下するか、ほとんど分泌されなくなるため血中の糖が異常に増加します。
さらに、血中に自らの膵細胞を攻撃する自己抗体が認められるものを1A型(自己免疫性)、ないものを1B型(特発性)と細分されます。
飲み薬は無効で、患者は必ず注射薬のインスリンを常に携帯し、毎日自分で注射しなければはなりません。
インスリンを注射しなければ、容易に生命の危険に陥ります。
また、1型糖尿病のなかでも、特に20歳を過ぎてから発症する「劇症1型糖尿病」という、数日間でインスリンが枯渇するさらに危険な病気もあります。
診断の基準としては抗GAD抗体、抗IA2抗体が陽性かどうかが重要で、2型と違い遺伝素因は少ないとされています。
また、生活習慣病である2型とは違い、1型は生活習慣病ではありません。
1型糖尿病では甲状腺疾患を合併しやすいことが知られているため特に女性では注意が必要です。

・2型糖尿病
インスリン非依存型糖尿病ともいい、インスリンの分泌低下と感受性低下の二つを原因とする糖尿病です。膵臓のインスリン分泌能低下が重要な原因となります。
少なくとも初期には、やせた糖尿病となり、遺伝的因子と生活習慣がからみあって発症する生活習慣病で、糖尿病全体の約9割を占め、基本的には除外診断によって診断していきます。
突然に発症することはなく、多くは高血糖の症状が目立つようになってから血液や尿検査で発見されます。
気をつけるべき点として、2型にみえる1型糖尿病が存在するということです。
1型にしては30~50歳で発症と発症年齢が高く、臨床像は2型そのものですが徐々にインスリン依存状態に陥っていきます。
遺伝的に糖尿病になりやすい体質の人が、糖尿病になりやすいような生活習慣を送ることによって2型糖尿病になると考えられています。

メタボリック・シンドローム 高血圧の予防と治療

日本高血圧学会では、収縮期血圧(最高血圧)が140mmHg以上、拡張期血圧(最低血圧)が90mmHg以上の場合は高血圧症と診断され、160/100mmHg以上の場合は重症高血圧とされています。

高血圧が長く続くことにより、動脈硬化へと繋がり、様々な合併症を引き起こします。

脳血管障害-脳卒中の内、脳梗塞、脳出血
心臓疾患-虚血性心疾患(狭心症、心筋梗塞)、心肥大等
腎臓疾患-腎障害(腎不全)
血管疾患-動脈瘤、閉塞性動脈硬化症、高血圧性網膜症
代謝内分泌疾患-高尿酸結晶

などがあげられます。

予防と治療
まだ高血圧と診断されていない人は、予防が必要ですし、高血圧の人は治療が必要となってきます。

食事療法
減塩(ナトリウム制限)-原因によらず、塩分(塩化ナトリウム)摂取の制限は必須となります。天然塩はミネラル豊富なため多く摂っても高血圧にならにくいなどの宣伝がありますが、このようなことを信じることは非常に危険です。問題は食塩の質ではなく量であるからです。また、炭酸水素ナトリウム(重曹)もナトリウム源となることを見落としてはいけません。

アルコール制限-アルコールの摂取では一時的に血管が拡張し血圧が下がりますが、飲酒習慣は血圧を上昇させることは常識とされています。毎日の飲酒習慣は 10歳の加齢に相当する血圧値を示すとされてい説もあります。大量の飲酒者は急にアルコール制限を行うと一時的に血圧上昇をきたすことがありますが、継続的なアルコールの制限により数日後からは血圧は下がります。
エタノール換算量は、男性が20~30ml/日(日本酒換算1合前後)、女性が10~20ml/日。これ以下にするのが理想です。しかし、これくらいなら大丈夫ということではなく、これくらいでも高血圧には良くないので、できる限り、飲まないとすることが望ましいです。アルコールの摂取量と高血圧リスクの量は、最新の統計ではほぼ比例するようです。

禁煙
喫煙など動脈硬化を促進する生活習慣も断つ必要があります。喫煙はβ遮断薬の降圧効果を減じる作用があるからです。

その他生活習慣
研究から寒冷が血圧を上げることが示され、季節では冬季に血圧が高くなります。高血圧の人は冬季の寒冷刺激を緩和するために、トイレや浴室などの暖房も望まれます。できることなら家の中全体を一定の温度を保つことが必要です。入浴時の湯温は熱すぎたりせず、また、冷水、サウナは避けたほうがよいでしょう。トイレでは排便時のいきみは、血圧を上昇させるので避けるべきです。

適度な運動
散歩は歩くことで精神的にも解放されます。また、新陳代謝も活発となります。適度な運動は、心身共に癒しをもたらす効果がありますが、運動に対して体調に不安がある場合は、医師や専門のトレーナーに相談するのをお勧めします。
なお、過激な運動は逆効果となりますので、注意してください。

その他薬物療法(降圧剤服用)があります。

メタボリック・シンドローム 肥満がもたらすもの

肥満はさまざまな疾患の危険因子(リスクファクター)となります。

高血圧
血圧が正常範囲より高い状態が維持されている状態を言い、日本高血圧学会では、収縮期血圧(最高血圧)が140mmHg以上、拡張期血圧(最低血圧)が90mmHg以上の場合は高血圧症と診断され、160/100mmHg以上の場合は重症高血圧とされています。

高脂血症(脂質異常症の血中脂質が過剰のもの)
血液中の脂質(脂肪)が過剰になり、いわゆる血液がドロドロになる病気です。血液中には、コレステロール、中性脂肪、リン脂質、遊離脂肪酸の4種類の脂質が溶け込んでいますが、これらが過剰になると問題となるのは、コレステロールと中性脂肪です。

高脂血症には、
・高コレステロール血症:血液中の総コレステロールが220mg/dL以上のもので、生活習慣での高脂血症の多くがこれに当たります。

・高中性脂肪血症:中性脂肪のほとんどがトリグリセリド(TG)であるため、高TG血症とも呼ばれています。血液中にトリグリセリドが150mg/dL以上のもので、内臓脂肪型肥満の人に多いのが指摘されています。

・高LDLコレステロール血症:俗に「悪玉コレステロール」と呼ばれ、140mg/dL以上の低比重リポたん白が血液中に存在するものです。コレステロール検査値の中では唯一、心血管疾患の絶対的リスクファクター(危険因子)であり、他の検査値であるHDL、トリグリセリド(中性脂肪)と比較した場合、明らかに重要度が高いと言われています。

・低HDLコレステロール血症:俗に「善玉コレステロール」と呼ばれ、40mg/dL未満の高比重リポたん白が血液中に存在しなく、特に女性の方において、心血管疾患の重要なリスクファクター(危険因子)となりうると言われています。

これらの高脂血状態が続くことにより、血管内壁(血液が通る場所の壁)に脂質(脂肪)が沈着し動脈の壁が厚く硬くなっていく(動脈硬化)となり、その結果として、狭心症や心筋梗塞、脳梗塞などの合併症を引き起こす可能性が非常に高くなります。
また、自覚症状がまったくないことから、「沈黙の殺人者」とも呼ばれる大変恐ろしい病気です。つまり、突然襲ってくるのです。