メタボリック・シンドローム 高血圧の予防と治療

日本高血圧学会では、収縮期血圧(最高血圧)が140mmHg以上、拡張期血圧(最低血圧)が90mmHg以上の場合は高血圧症と診断され、160/100mmHg以上の場合は重症高血圧とされています。

高血圧が長く続くことにより、動脈硬化へと繋がり、様々な合併症を引き起こします。

脳血管障害-脳卒中の内、脳梗塞、脳出血
心臓疾患-虚血性心疾患(狭心症、心筋梗塞)、心肥大等
腎臓疾患-腎障害(腎不全)
血管疾患-動脈瘤、閉塞性動脈硬化症、高血圧性網膜症
代謝内分泌疾患-高尿酸結晶

などがあげられます。

予防と治療
まだ高血圧と診断されていない人は、予防が必要ですし、高血圧の人は治療が必要となってきます。

食事療法
減塩(ナトリウム制限)-原因によらず、塩分(塩化ナトリウム)摂取の制限は必須となります。天然塩はミネラル豊富なため多く摂っても高血圧にならにくいなどの宣伝がありますが、このようなことを信じることは非常に危険です。問題は食塩の質ではなく量であるからです。また、炭酸水素ナトリウム(重曹)もナトリウム源となることを見落としてはいけません。

アルコール制限-アルコールの摂取では一時的に血管が拡張し血圧が下がりますが、飲酒習慣は血圧を上昇させることは常識とされています。毎日の飲酒習慣は 10歳の加齢に相当する血圧値を示すとされてい説もあります。大量の飲酒者は急にアルコール制限を行うと一時的に血圧上昇をきたすことがありますが、継続的なアルコールの制限により数日後からは血圧は下がります。
エタノール換算量は、男性が20~30ml/日(日本酒換算1合前後)、女性が10~20ml/日。これ以下にするのが理想です。しかし、これくらいなら大丈夫ということではなく、これくらいでも高血圧には良くないので、できる限り、飲まないとすることが望ましいです。アルコールの摂取量と高血圧リスクの量は、最新の統計ではほぼ比例するようです。

禁煙
喫煙など動脈硬化を促進する生活習慣も断つ必要があります。喫煙はβ遮断薬の降圧効果を減じる作用があるからです。

その他生活習慣
研究から寒冷が血圧を上げることが示され、季節では冬季に血圧が高くなります。高血圧の人は冬季の寒冷刺激を緩和するために、トイレや浴室などの暖房も望まれます。できることなら家の中全体を一定の温度を保つことが必要です。入浴時の湯温は熱すぎたりせず、また、冷水、サウナは避けたほうがよいでしょう。トイレでは排便時のいきみは、血圧を上昇させるので避けるべきです。

適度な運動
散歩は歩くことで精神的にも解放されます。また、新陳代謝も活発となります。適度な運動は、心身共に癒しをもたらす効果がありますが、運動に対して体調に不安がある場合は、医師や専門のトレーナーに相談するのをお勧めします。
なお、過激な運動は逆効果となりますので、注意してください。

その他薬物療法(降圧剤服用)があります。